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カーボン・オン・カーボン(焼きそば+お好み焼き)みたいな?

今季からカーボンフレームにカーボンスイングアームという装いになったドゥカティ。その詳細はカウルに隠れて判別つきかねる部分が多いものの、GP9は、これまで自分が乗ったドゥカティの中でイチバンだね、とケーシーストーナー、かく語りき。

■Casey Stoner: GP9 is best Ducati yet - MCN
http://www.motorcyclenews.com/MCN/sport/sportresults/mcn/2009/April/13-19/apr1709-stoner-says-newgp9-ducati-is-best-yet/
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ドゥカティのトレードマークであった、鉄鋼管によるトラスフレームから、カーボンモノコックのシャシーへと変貌を遂げたドゥカティGP9。その変更によって、かねてよりストーナーを苦しめていた、コーナー立ち上がりでハードなアクセラレーションを行った際のポンピング(日本風に言えば"チャタリング"かな?)が軽減された。

そして、ストーナーが言うには、今季のGP9は、従来のGP7およびGP8と比べると、オールラウンダーなパッケージとなっており、どんなコースを走らせても速くなっているとのことである。

「07、08モデルは、どっちもあんまり変わんないかな。GP8はフロント側の剛性を高めるように補強をし、シーズンが進むにつれ、エンジン特性も見直すようにしてた」

「でも、僕らは終始ボトムエンドのパワーが無いことに悩まされてた。それが今年、GP9になって大幅に改善されたんだよ。そして今季、新しくなったカーボンフレームとスイングアームに、トルクフルなエンジンが組み合わされたことで、GP9はとても乗りやすくなったんだ」

「いまんとこ、新型GP9の開発については、おおむね僕らが狙い、期待したとおり、順調に進んでるよ」

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先だっての開幕戦、カタールでは他を圧倒するスピードを発揮。レースウイークを完全に支配したストーナー。その走りを支えたのが、カーボンシャシーとなった新型のGP9である。車体の剛性アップが図られ、エンジンもストーナーの要望にあわせて、ボトムエンドからパワーが出るように調教がなされたそのマシンは、ストーナーにとっては「乗りやすい」もののようであるが、同じマシンを使うニッキーヘイデンは(マシントラブルや転倒もあったものの)予選、決勝とも走りについては終始苦労しているように見受けられた。

ドゥカティのマシンは、現状「ストーナースペシャル」と化していることは間違いないだろう。高いスピードのままコーナーに飛び込み、誰よりも大きく、早くアクセルを開けて立ち上がっていくストーナーの乗り方にあわせたマシンは、すべての操作領域において「遊び」が少なく、「待ち」のライディングを許さない。ブレーキからアクセラレーションで発生するGのすべてを、余すことなくトラクションに変換する。そのための車体のカーボン化であり、ボトムエンドからパワー(トルク)を発揮するエンジンなのである。

ここから先は想像上の話だが、上記のようなストーナーの走りと、チームメイトとなったヘイデンとの走りを比べると、ヘイデンはブレーキで突っ込みすぎ、コーナーアペックスでのスピードが遅い。それはすなわちフロントタイヤに負担を強いている時間が長く、同時にリヤのトラクションがかかりにくい状況に陥りがちではないかと思われる。そこでの遅れを取り戻そうと、アクセルを大きく開けてしまえば、トルクが増強されたエンジンによって、リヤタイヤは空転を始め、それが御しきれなくなると、先のカタールのようなハイサイド転倒、ということになるのである。ボトムエンドからパワーが出るマシンで有効な加速、トラクションを得るには、早めのリヤ荷重がかけられるような車体姿勢をあらかじめ保った上でアクセルを開けていかねばならない。少なくとも、ブレーキをリリースしたタイミングで、まだフロントに荷重が残っているようではダメで、そうなってしまってはコーナーアペックスの先までアクセルを戻したまま、車速が落ち、荷重がリヤに戻ってくるのをひたすら待たなくてはならない。

ヘイデンがGP9にアダプトするには、自らが武器とするドリフトを、(ブレーキで突っ込みすぎたことによる)リヤ荷重の抜けではなく、(早めにアクセルを開けて)確実なトラクションをかけたうえで発生させるようにしなくてはならないだろう。そのためは、これまで乗っていたホンダのように、フロントを頼ってターンしていくのではなく、リヤのトラクションでフロントを巻き込んでいくように、ライディングのスタイルを変えていく必要があるのではないだろうか。

[追記:これはもはやフレームではない]
gp09.jpg
これ見る限りは、カーボン化された部分は、フレームというよりも、エンジンとヘッドパイプから先のフロントサスペンションを繋ぐボックスユニットみたいな感じだな。エンジンそのものを支持剛体として、そこにヘッドパイプとリヤサスのユニットを取り付けてある。こうした作りなら、確かに車体剛性は高く仕上げられそうだ。こうなってくると、もはや"フレックスシャシー"の概念は、過去のものになった*ように思える。コンセプトとしては、フレームレス構造をさらに推し進めた感じだけど、従来のようにストレート構造のフレーム部分が見えないと、どうもハンドリングの想像がしにくくて、このバイクがどんなキャラクターなのか把握しづらい**。それでも見ていて思うのは、ステアリングのオフセットがほぼゼロな一方で、キャスターは比較的大きく取ってあることから、意図的なステアリングへの入力操作でフロントの旋回性を出そう(ライダーの操作でハンドリングをコントロールさせよう)としているだろうことだ。リヤのトラクションは、リヤサスのユニット部分で独立、完結させる。これだと、アクセル操作によって旋回性を出すよりも、トラクションは車体を前に進めるために使用する比率が高そうだ。

*僕は従来からフレックスシャシーの概念については懐疑的だった。そのあたりのことについてはこことかこことかで書いている。

**さらにじっと眺めて思うのは、この構造だと、フレームの縦幅を気にしないですむ分、ヘッドパイプの位置を相当低く抑えられることだ。これが出来るのは、幅が狭いドゥカティのL4エンジンだから。インライン4のエンジンでは、横幅の分、ヘッドパイプ近辺のフレームを逃がすことができないから、同様の処置は難しいはず。車体全体の低重心化にも、このカーボンボックスのフレーム構造は寄与していそうである→低重心化は、二輪の場合、通常ハンドリングを重くするが、その悪影響をヘッドパイプを低くすることでキャンセルしている。これこそが、車体を深く・長い時間バンクさせつつ加速していくストーナーの走りを支えている根幹部分だと思う。


また、今シーズン後半からは、エンジンの使用数量についての規制が入るから、そうなると、耐久性を持たせるためにエンジンそのものは重くなる傾向になると思われる。そうした場合、エンジン自体の支持強度も容易にもたせやすくなるから、ドゥカティのこのエンジンを中心に、前後ボックスユニットを組み合わせる車体構成には、意外なアドバンテージが生じそうな気もする。

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