もちろんやってるのはバイクのレースだから、そりゃ転ぶのは仕方ない。とはいえ、最近とみに度重なる転倒では、つど怪我人が発生し、しかもその受傷状態がいちいち重症なのが気がかりだ。
■MotoGP速報ニュースサイト インテリマーク − ホプキンスも重傷、カピロッシに続きオランダGP出場をキャンセルhttp://www.intellimark.co.jp/2008/articles/news20080628001.htmlいまではレースに復帰できているとはいえ、遡ればウインターテストではペドロサが右手だかに結構な怪我を負っていたと記憶するし、シーズン入ってからではロレンソが両足首の骨折に加え右手に皮膚移植が必要なほどの転倒だろ(復帰はしたけどやはり走りには以前ほどの勢いのよさはなくなった)。そして上記の事故。今回のホプキンスの転倒はかなりやばい転び方だったらしいね。その状況を僕は見ていないんだけど、高速で転倒してコースサイドを滑走したあげくにさしたる減速もできないままに足からコンクリートの防護壁に激突したとか。しかもその左ひざは、単なる骨折ではなく、「骨が押しつぶされたような」折れ方をしてるというのが気になる。これはよほど慎重な治療を行わないと、ライダー生命すら左右するような何らかの後遺障害が残ってしまわないかと心配だ。
その常人では計り知れないスピードで、非日常のエキサイトメントを提供してくれるMotoGPのレースだけれど、それとの引き換えで、こうしたライダーの負担、犠牲が積み重なってしまうのは、避けられないことかもしれないけれど、悲しいことだと僕は思う。別に僕らは彼らの冒すリスクを見て楽しんでいるわけではないのだ。アクティブセイフティにパッシブセイフティ。何か有効な対応策はないのだろうか。
最近の転倒での怪我の状況を見ると、高速でスリップダウン(ローサイド)して路面を滑走して手に負う擦過傷、ハイサイドでの落差のある転倒での骨折、そしてコース外の障害物への衝突による骨折というのがタイプファイされるようだ。
ローサイドでの擦過傷(手への被害)は、これはまずは転んだらバイクは放す、ということがライダー側から見た場合の筆頭の対処方法になるだろう。スリップダウンした後も、ステアリングバーをいつまでもつかんだままだと、バイクと路面の間に手が挟まれてしまい、それが怪我の程度を酷くするのだ。もちろんグローブのプロテクションを上げるというのもあるが、それはおのず操作性を落とすことになるので、ライダー心理としてはあまり手元をがちがちに固めたくはないはずだ。
ハイサイド転倒への対処については、これは半ば運任せの面もあるが、まずはヘルメット、スーツ、グラブの防護性能をさらに高める必要があるだろう。
以前のエントリーで取り上げた、d3oについては、レーシングスーツへの積極的な転用を求めたいところだ。
コース外の障害物については、これはもうひとえに徹底的に排除することに尽きる。今回のホプキンスの事故の状況を聞くに、鈴鹿での加藤大治郎選手の事故の教訓がいまだに活かされていないのかと思う。スピードの乗るコーナー外周については十分なエスケープゾーンを設ける(二輪の転倒のことを考えたら、サンドトラップの方がライダーの減速には有効だと思う。コースサイドが芝生やコンクリートでは、滑走スピードを十分に落とすことができない。サンドトラップも波打っていては逆に危険なので、きちんと整地する必要もある)。それが無理ならこんなに必要ないというくらいのクラッシュパッドを設置する。もしくはシケインを設ける等の処置も有効だろう。
こないだのオランダでは決勝を完走したのは、たったの13台である。これはもともとの参加台数の少なさに加えて、転倒者によるレースの離脱、不参加が重なってのことだ。世界最高峰のレースが10台ちょぼではあまりにも寂しすぎる。
もちろん単に台数を増やせばエキサイトするってものでもない。レースのクオリティを保つには、マシン、チーム、ライダーの健全さが必要だ。そこに参加するための障壁の多さが、MotoGPレースの一定以上のレベルを保持するのに一役買っているのは事実なのだ。だからこそ、選ばれた精鋭のライダーたちには、自身の本当のポテンシャルを万全な状態で発揮してもらうためにも、レースの安全レベルを引き上げることは、やってやりすぎるということはない。
レースという極限を試す戦いの場は、常に最善・最高のフェアな環境とクリーンさとセイフティを持っていなければならない。