MotoGPもてぎラウンド。FPから予選を完全制圧したのはホンダのペドロサでしたとさ。
>もてぎ予選最終結果(MotoGP Official)どうやら今回ハズレくじを引いたのはブリヂストンタイヤか。はたまたミシュランの復調が確かなものになったことの現れか。今日の予選がここまで暑くなったことが、誰に幸いし、誰に災いしたか。予選トップ3はミシュラン。以降がBSと明暗が分かれる予選となった。
2番手ロッシ。以降、ヘイデン、ドピュニエ、エリアス、ウェスト、エドワーズ。そしてようやくドゥカティのカピロッシ。あげくストーナー、と。その速さでシーズンを引っ張ってきたストーナーがここまで予選で後位に落ち込んだのははじめてじゃないか?ましてやブリヂストンの聖地たるもてぎで。カピロッシの後ろですらあるというのは、ストーナーの心中は穏やかざる状況であろうことが推察される。FPでも精神的に荒れた素振りがあったとのことだし、圧倒的な速さを見せつけ、今季のタイトルをほぼその手中に収めているストーナーとはいえ、それを守り続けることのプレッシャーにここにきてようやく気付いたか。はたまたその若さが自分の思い通りにならないことへのいらだちを助長しているか。いずれにしても、ここでストーナーが多少なりとも崩れてくれれば、残りのシーズン、そのタイトルあらそいの決着が延長されるから、それはそれで意味のあることだろう。
決勝ではロッシはとりあえずペドロサを先行させるか。はたまたもてぎに入った途端にその走りが勢いづいているペドロサに先行を許すことはリスクと考え、自身がスタートからトップに立ち、先行ブッチ切りを演じるか。予選ではペドロサに後れをとったとはいえ、ラップペースは相当に高いレベルで安定している。予選で白煙を吹き上げた不安定な新型エンジンの信頼性さえ確保できれば、周回を重ねるほどにロッシが勝てる可能性は高まるだろう。ポールのペドロサは先行逃げ切りしか手はないだろう。下手にロッシに絡まれれば、また手玉に取られて終わる。予選で得たコンマ3秒のアドバンテージをそのまま決勝レースの展開に活かせれば、圧倒的な勝利の可能性は高い。ストーナーはタイトルのことを考え、今回はクレバーな走りに徹するか、はたまたどんな状況でも自分の速さをみせつけるために、リスク覚悟で先行するマシン群を追いかけるか・・・想像力と興味がどこまでもかき立てられる。
ただ、明日の決勝の展開を左右するものとして、ここにきて天候が若干不安定になってきていることが気がかり。関東地方北部は曇りで、ところどころ雨、とさっき聞いたラジオの天気予報では言っていた。仮に雨になってしまったとしたら、予選タイムはなんの役にも立たなくなる。ウェット路面にてとたんに活気づくスズキ勢(ぼくの原付のためにがんばれホプキンス!)やらその他失うものがなにもないライダーが特攻んでくる可能性が高まる。地の利を活かして日本人勢がよもやの活躍をみせる可能性もでてくるだろう。
予選を終えたいま、各チーム、各ライダーは、明日の決勝のシミュレーションを全力で行っているはずである。僕がレースを見るときには、「自分がライダーだったら」あるいは「チームクルーだったら」「タイヤメーカーの担当者だったら」という視点でその内容を想像している。「ぼくならどうするか」という事前の予想を立て、それを決勝の展開に当てはめる。そうした予想が的中したときは、まるで自分がレースに参加しているような興奮とカタルシスを得ている。それが僕のレースの楽しみ方だ。
しかし今回のもてぎでは、パフォーマンスの揃ってきたマシンとタイヤ、拮抗するライダーの走りに不順な天候、と、決勝の展開を読むに当たって考慮すべき選択肢の数が非常に多い、難しいラウンドになった。勝利を渇望するチームスタッフやライダーにとっては、寝苦しい夜になりそうだ。そして僕も。
[M1好調の裏に。]
今回の予選ではペドロサの後塵を拝したとはいえ、ここ最近のロッシとM1がスピードを取り戻したのは、新型のニューマチックバルブエンジンのおかげ、というだけではないと僕は思っていましてね。

写真は今回のもてぎのものだけど、前戦のエストリルのレースをくり返しみていて僕は確信したんだけど、M1、エンジンをニューマチックに積み替えるのに合わせて、車体のジオメトリをだいぶいじってるよね。特にリヤサス周り。車高下がってない?リヤアームの対地角減らされてない?合わせてフロントの車高も下がってない?これまでのM1の極端な腰高イメージからすると、こうして側面からのイメージを見ても、全体的に車高が下げられ、地を這うようなものに変更されているように思える。(フレームもショート化されてないか?)重心が下がって、サスペンションのストロークを有効なトラクションとして使い切れるようなディメンジョンに改められたように見えるのだ。
僕は以前、今季のM1不調の原因は、エンジンパワーとタイヤの他に、
車体設計がトラクションを活かしにくいものになっているのではと指摘したのだが、それが実際に反映されたように、見える、のだが・・・。
※事実、エストリルのレースでは、僕は以前に比べて非常に良く動くようになったM1のリヤサス周りに視線が釘付けになっていた。「これはいけるぞ」そしてあの会心の勝利である。
加えて、M1のモディファイについては、僕は
空力の向上のためにカウルデザインを変更すべき、というのもそれが変更される前に指摘して、その後にそれが実際に反映されたりしていて、これらは個人的にレースを見る醍醐味をより大きなものにしてくれている。こうしたことはすべて「もしぼくがM1のエンジニアだったら」という視点で想像し、その改良が実際に行われた(らしい)ことを確認したものだ。
※マシンの改良予想については、僕はホンダのRC212Vについても
4月の時点でその問題点を指摘し、その後に
指摘箇所の改良を確認している。
[レースの楽しみ方は人それぞれ。]
僕は別に本職のエンジニアでもメカニックでもないが、これまで自分の興味に応じて知ったモーターサイクルのエンジニアリング的な知識と想像力を総動員して、単なるレースの勝敗だけではない部分の予想をすることで、レース観戦の際の楽しみとしている。
スピードの裏に潜むものは何か。勝者と敗者を分けたものは何か。コース上で発揮されるライダーのテクニックとメンタル、エンジニアリングについて想像を巡らし、「まるで自分がレースに参加しているかのような疑似体験をする」。
それが僕のささやかなレースの楽しみ方とその根本姿勢になっている。
これは映画や小説を見たり読んだりするのと同じことだ。それに感情移入ができなければ、それを楽しむことなどできはしない。
「レースなんか見たってつまんない」そういう人は、レースというものに感情移入ができない、その方法がわからないんだと思う。モーターサイクルレースの面白さ、その楽しみ方について、誰でも良いからもっとわかりやすく、かつ楽しく人々に伝える役目を負ってくれる人がいればいいのにと思う。僕がこんなところでいくら言葉を重ねてみても、ひとつもわかりやすくも楽しくもないのだから。そのことには僕自身も内心忸怩たる思いを抱いているのだけれど・・・。